頓痴気号漂流記

一人で工廠を名乗る不届き者。

狂気の弁明#5

学会発表者の狂気に迫るインタビュー、第五回はミリマスに関する怪文書作成でも名高いかめぴさんに来ていただきました。
Twitter@kamepppppppp 
Pixiv: https://www.pixiv.net/users/1094497

 

アイマスとの出会い

―(Lotus)まずはアイマスとの出会いについて教えてください。

私のアイドルマスターとの出会いはアニマスです。アニマスでASを一通り見た中で雪歩を気に入りました。そして雪歩が登場するゲームってことで、GREEアイドルマスターアイドルマスターミリオンライブ!愛称はグリマス)を始めて、そこからミリマスにずっとハマり続けている感じですね。

―なるほど、GREEに入ってからの気になったキャラクターの変遷など教えていただけますか。

それはよく覚えています。私がGREEに入ったタイミングでアイドル学園文化祭というイベントをやっていて、その時の完走がまつりでした。雪歩を入れたかったのもあり、雪歩・まつり・桃子でビジュアルユニットを組んでいました。
その半年後くらいに百合子が完走のアイドル紅白歌祭りというイベントがあって、その百合子のウィンドエレメントという、百合子が夢心地でステージ上で踊っているカードがあるんですけど、そのカードが本当に好きなんです。そこから百合子が気になっていって、ビジュアルのユニットに百合子を入れるようになりました。ビジュアル以外のボーカルやダンスのユニットも作っていくうちに、他の子も徐々に触れていって、最終的に箱推しになったという変遷かなと思います。

 

・担当や推しについて

―箱推しとのことですが、担当を訊かれたときは誰を挙げる感じになるでしょうか。

Pの集まり等で、もし訊かれたら七尾百合子ですと答えるようにしています。

―ふむ、では担当と推しという表現で、推しに関しては765プロ、765シアター全員っていう感じなんでしょうか。

そうですね、推しについても765プロシアターの全員と考えて頂ければ良いです。ですが、「推し」と「好き」の境界が曖昧かもしれないです。「担当」が「アイドルを担当しているプロデューサー」という視点で、「推し」が「ファン」や「お客さん」としてそのアイドルが好きっていう関係だとすると、私は全アイドルが推しですね。そうなると推しは誰になるんだろうな。プロデューサーとお客さんの視点の違いが面白いアイドルでいうと望月杏奈と篠宮可憐だと思いますね。

―確かに見え方が結構違ってきますね。

そうですね。プロデューサーから見た杏奈とか可憐と、お客さんから見た杏奈と可憐は全然違っていて、そこは面白いなと思います。

―ありがとうございます。お話を伺った印象なのですが、視点が移動するんですかね。

ん?

―えっと、かめぴさんがプロデューサーの時とファンの時があるという認識でよろしいでしょうか。

そうですね。プロデューサーの時もあれば、ファンとしてアイドルを見る時もあります。

 

・発表の要約

―なるほど、ありがとうございます。ではアイマス学会での発表について質問していきたいのですが、まず第一回札幌での発表について教えていただきたいです。

はい。第一回のアイマス学会の方ではミリオンライブ全般のキャラクターの魅力と、その中で七尾百合子をピックアップして、七尾百合子の魅力を発表しました。現地参加が叶わなかったので、ゆみゆみPさんに代読をお願いしました。

―ありがとうございます。では次にオンラインアイマス学会での紬の話をお願いします。

オンラインアイマス学会では、白石紬のソロ曲である「瑠璃色金魚と花菖蒲」の歌詞から紬の過去を考えさせていただいて、紬のアイドル観や、紬にとっての「花菖蒲」とは何かを考えました。結論として、紬にとっての「花菖蒲」がアイドルという概念ではなく、一個人のアイドルを指すのではないかという結論に持っていき、そこから見えた妄想をお話させていただきました。

―ありがとうございます。ちょっと気になった所があるんですけど、

はい。

アイマス学会とは直接は関係ないのですがかめぴさん自身で発行されている物の中にロコの液体、液体ロコについての一考察みたいなものがあって、それが凄く気になったんですけど、それは…何?

何、何か(笑)。液状化ロコの各画分におけるロコ等量の測定と効率的な復元方法に関する研究ですよね。

―あ、それですそれです。

あれは確か夏の暑い時期に、こんなに暑かったらきっとロコは溶けてるだろうなと思ったのが切っ掛けですね。それで「でもロコが溶けたらアイドルやっていけないし治さなきゃ、冷やして元に戻してあげなきゃ」みたいなことを妄想して、でもロコの復元方法どうしようみたいな事をTwitterで呟いているうちに、これは形になりそうだなと思ったのでコピー本として出させていただきました。

 

・今後の展望

―なるほど、ありがとうございます。続いて今後の展望についてお伺いしていきたいと思います。まず百合子の話についてですけど、これはどちらかというと「みんなも創作していこうぜ」みたいな内容に思われるのですが。

あ、そうですね。

―その後こういうのをやろうよって働きかけみたいなことはされました?

そうですね、妄想しようよという働きかけは常にtwitterではやっているつもりです。百合子というか全アイドルの魅力はもっと掘り下げたいと常々思ってはいるんですが、特定のアイドルではなく思いついた端から掘り下げていこうと思っています。

先ほどの紬の方の話もそうなんですけど、別に紬の専門家になりたいというわけではなくて、広く浅く続けていこうと思います。アイマス学会の発表物としての今後は今のところは考えてないですね。もし何か妄想が思いついて、タイミングが合えば参加させて頂ければと思います。

―という事はその時に思いつくものが別のアイドルになる可能性もあるという事ですか?

はい、そうです。

―かめぴさんは過去に「アイドルになる瞬間」というテーマで39人分のSSを書いて同人誌として発行されていますね。それも広く浅くを続けていった結果なのでしょうか。

そうですね。あの39人SSは確か、木下ひなたの学校生活を妄想していたのが切っ掛けだと思います。そこで、ひなたが同級生にアイドルであることを打ち明ける瞬間が、ひなたがアイドルになる瞬間なんじゃないか、と思ったんです。

その時に「これ他の子でも面白そうだな」と思って、他の子も考え始めた結果39人分考えたくなってしまいました。一通り書いた後に、やっぱり言葉だけで説明しきれないなと感じて、SSも書かせて頂いたという流れですね。必要に駆られたから書いたという感じです。

―なるほど、ありがとうございます。えっと、最後に液状化ロコについての今後の展望というか、まずそれ以前にエレナと土壌のやつもありますよね?

あー、はい。

―これらの分野って先ほど伺った妄想とはちょっとベクトルの違うもの、と言っていいのでしょうか。そのようなものを感じるんですが、この分野に関して今後練っている内容とかありますか。

この分野では、「日本七尾百合子学会誌」という同人誌を出させていただいたんですけれど、その時は「百合子の生態に迫る」というテーマで書かせて頂きました。なので、生態学以外の観点からも百合子を見たりはしてみたいなとは思っています。液状化ロコに関しても、ISFという同人誌のイベントがあって、そこに持っていくものが何か欲しいなと思った時に、丁度良い具合にとろけたロコが転がっていたので書いたという感じです。特に展望というものは無いですね。思いつきだったり、必要に駆られて書いたりといった具合です。

―環境要因って感じですかね。

そうかもしれないですね。

 

・犯行動機

―では気になる犯行動機についてですけど、百合子の作品に関しては犯行動機と言うかまあ知ってもらいたかったというのがメインなんでしょうか。

そうですね。まず、アイマス学会をtwiplaで初めて見まして、推しのプレゼンをする大会なのかなって思っていました。私は箱推しなので、他の人が推しのプレゼンをするなら、折角だからアイドルだけじゃなくて「ミリオンライブ」を推そうと思いました。その中で、担当についてもプレゼンしないといけないのかなと思ったので、じゃあ百合子かなという感じで発表させていただきました。アイマス学会に限らず、面白い会があったら賑やかしには協力したいと思っています。

―ありがとうございます。えっと、紬の発表に関してはオンラインアイマス学会での発表となりましたが、ここで出そうと思った心境の変化とか、もしくはそもそも紬について考えたかった動機とかいう物はありますか。

動機は……。曲について考えたくなる時とかは、本当に「たまたまその曲を聴いた」とかなんですよね。歌詞をもう一度見直してみたら新しい発見があったりして。今回のオンラインアイマス学会については、たまたま瑠璃色金魚と花菖蒲の歌詞について考えてブログとかに整理していたタイミングで、オンラインで発表する機会がありそうだったので、丁度良いから発表しようという感じですね。

―なるほど。最後にロコの動機についてなんですけど、これはやはり気になったからなんですかね。

はい。んー、まあさっき言った通り真夏でめちゃくちゃ暑くて、私自身が溶けていたからなんですかね、わかんないです。「なんでロコだったのか」と聞かれるとそれは難しいです。じゃあ他の子だったらいいのかとか、他の子はどうなんだとか言われると、そこは説明できないです。「たまたまロコで思いついたから」が一番良い説明で、たまたま私が見た光景でロコが溶けてただけなので。

―これはインタビューに実際載せるかわかんないんですが一応聞いといていいですか。

はい

―ロコナイズド活性って、なに?なんですかあれ?

あはは、いやあれは……、改めて説明すると恥ずかしいんですけど。私個人の考えとして、ロコは世界を鮮やかにしていきたい願望がある子だなぁと思っています。もちろんモノクロはモノクロですごい綺麗なものですし、それも立派なアートだとロコは認識してると思いますが、「いろんな色がある状態」をロコは大切にしてるんじゃないかなって感じています。
それで、ロコが元気であればあるほど、より創造的な活力があればあるほど、ロコの世界はより色鮮やかになるんじゃないかなと思い、その活性を定量的に評価する方法ないかなと妄想して「ロコナイズド活性」というものを書かせてもらいました。ロコの感覚的なものなので難しいなとは思っていたのですが、白と黒のモノクロの物体があった時に、それにロコが色を加える力があったらいいなと妄想して、その力を測定機器で測れるようにしたのが「ロコナイズド活性」の測定試験とさせて頂きました。すべて妄想です。

―質問なんですが、なんで科学の手法を使おうと思ったのですか?科学の書き方をしようと思ったのかというか…

科学はサイエンスの方ですよね、ケミカルではなくて。

―はい、広義の科学ですね。

単純に私が好きだからですかね。私がああいうのが好きな人間で、かつそういうものに触れる機会もあったので、「書きたい」のと「書ける」からですね。

―元々理系の学問を修められた方なんですかね。

そうですね、理系です。

 

・私的P観

―では最後になりますが、私的P観、私的アイマス観について伺っていこうと思います。先ほど担当や推しについての所でも軽く聞きましたが、アイマスに対しての自分の立場が変動するのでしょうか。

まあ、そうなるんですかね。変わるし、変えるしですかね。

―それは自分から変えることも出来るし環境によっても変わる。

日常生活の中で変わっちゃうこともありますし、SSを書きたい時は、変えようと頑張ったりはしますね。

―その環境によって変わらされるというか自分の意思に反して自然と変わっているときの具体例とかあったりしますか?こういう場合にこう考えてるときとかあるよ、みたいな。

基本的に「変わっちゃう」のはもう本当に何でもかんでもです。「眠い」だけで変わることもあります。眠いなってなった時に、「でも田中琴葉だったら頑張って起きてるんだろうな」と思ったりとか、何か美味しいものを食べてるときに「これ凄い美味しいから、可奈ちゃんが食べたらきっといい顔をするんだろうな」とか、そういう……これで変わってる例としてあってます?

―私は凄い合ってると思います。なんというか、日常がアイマスに侵食されている感というか。

侵食されてるのかこっちに来てるのかわからないですけどね。

―そこも聞いてみたかったんですよね。それこそ先ほど挙げさせてもらったロコとエレナのあのペーパーについてなんですけど、参考文献・引用文として実際に存在する論文というのでしょうか、J-STAGEとかで調べたら出てくる論文と私たちがアイマスを知る立場となるCDだったり或いはゲームだったりそういう物と完全に創作の杏奈とか亜利沙とかが書いた論文が混在してたじゃないですか。

そうですね。

―あれはどの立場に立って、と言ったら難しい質問になりますが。あれはアイマスの世界で実験をしてこちら側の参考文献を引っ張っているような形なのか、こちら側で思考実験をしてあちら側の参考文献を引っ張ってきてるようなイメージなのかっていう質問をするとどっちだと答えますか?

向こうの世界では、こっちの論文を引っ張ってくる必要ないじゃないですか。

―そうですね、確かに。

確かWHOの論文を引用していたと思うんですけど、向こうの世界にも多分WHOあるじゃないですか。そして、向こうの世界にもきっとJ-STAGEはあるはずなんですよ。という事は、J-STAGEに美咲ちゃんが論文書いていたら、美咲ちゃんの論文があるんですよ。

―という事はかめぴさんの中にあるアイマス世界っていうのは、こちら側の世界の隣にあるというか同種、似た種のものでアイマス関係者以外は私たちのコピーのような、ほとんど同様のシステムがあるっていう感覚でいいんですかね。

そうだと思いますよ。だってアイマスのアイドルはそっちの世界に生活してるわけですから。自宅もあれば、劇場に行くまでの交通網もありますし、なんならアイドルになる前の人生もそれぞれのアイドルであるわけです。そこは世界として存在してないといけないですし、私は創作をする時にそこにファンタジーを持ってこれるほどの技量はないので、私たちの世界をベースに考えてアイドル達が生活しているって考えます。
例えば、未来ちゃんは今日の朝御飯何食べたのかなとか、そういうリアルな生活が広がっている妄想をするのが楽しいっていう。私が楽しいからこう考えているだけなんで、こうあるべきとかじゃないですよ。

―かめぴさんがこう考えるというのがこのインタビューで一番大事ですから。もしかしてですが、あちら側の世界もアイマス世界と私がいま生きている現実世界が重ね合わせの状態になる感覚ってありますか。

重ね合わせってどういう物をいってますか。

―今お話を伺った中ではアイマス世界と私たちの住む世界が隣り合ってるという、同じ場にあるようなイメージだったんですね。で、先ほどかめぴさん自身がこっちにいたりあっちにいたりと視点が動くという話だったので、もしかして現実世界とアイマス世界に重なり合って見えている部分があるんじゃないかなっていう。

それはあるんじゃないですかね。別に家を一歩出たらその辺を志保ちゃんが歩いているかもしれないですし、可能性はゼロではない。ちょっと変なこと言っちゃってますかね。

―いえ、これはすごく面白い観点だと思います。実はこの企画の第一回のカットしてある部分で私も似たような事は言ってたんですけど、ちょっと違うんですよね。こう、アイマス世界を現実にとても近いものとしてとらえているプロデューサーの中でも私はアイドルがこちら側にいると考えているのではなくプロデューサーは私であるっていう感覚でアイマス世界がこちら側に侵入してきてるんですけど、どちらかというとかめぴさんはアイドル世界そのものが影響力の強いものでこちら側にもアイマス世界事態がくっついてきているような印象を受けました。

え、Lotusさんはじゃあ自分がプロデューサーとしてアイマス世界に行ってるようなイメージなんですか。

―はい。現実世界への侵食という目で見るとこれをアイドルに持って行ってあげたいなっていう感覚です。だから言ってみると自分から行ってるのかもしれません。あるいはリアルの友人に対してこの子やったらこうやってプロデュースしたら面白いだろうなって思うことはあります。

リアルの友人に対して?

―はい、男女問わず。もしこの人アイドルとして活動するんだったらこういう雰囲気でこうやったら絶対面白いだろうなという考えはたまに持ちます。

すごい、それはそれで私初めて聞きました。

―こういう人あんまいないと思いますよ、だからこそこの企画に呼ばれてるわけで。

面白いですね、でも結構SSとか書く人だったらこういう人多いんじゃないかなって勝手に思っていて、わたしはそんなに珍しい人間じゃないと思いますよ。

―現実性の高いアイドル達がいるって感じですかね。現実性というよりはこちら側性かな?

そういうのが凄く好きな人もいますから。例えばミリオンライブでトンチキなイベントがあったとして、それを実際にやるためにはどういう法律をクリアすればいいだろうとか考えてる人とかもいますし。

―もしかするとミリオンの風土が生んだというかミリオンがメインだったからこその視点もあるのかもしれないですね。

これに関しては、あると思いますね。ミリオンライブの二次創作に関しては「公式が最大手」だと思っています。公式がやりたいようにやっているのを見るのが凄く楽しいんです。特に今(収録当時)ミリシタでミリオン女学園というイベントやってますけど。

―やってますね。

GREE時代はイベントの始めに一枚絵が出るんですけど、それが20行ぐらいバーって設定が書いてあって、「これ開発した奴が書きたかっただけだろ」みたいな感じで笑いました。その時は50人だったんですけど、50人全員分設定が決められてて。

―設定好きな制作陣おるなぁ。

幻覚が見えてる同人作家が作るような設定で。そういうのを楽しんでる人たちが集まるっていう雰囲気はあるかもしれないですね。

―改めて、全くもって不思議なコンテンツですね...

 

―(温泉卿)先ほどかめぴさんの視点は現実世界からアイマス世界に移動しうると伺いましたが、アイマス世界でとるロールというのは何になりますか?

Pであることが多いとは思いますが、見たい妄想によってはファンだったり、アイドルだったりかなと思います。

―そのロールは自己の延長線上にありますか?

妄想の時は延長線上にあることが多いと思いますね。SSを書いたりする時はあまり自分を出したくないので出さないようにしたいですが、無意識に出ちゃってるかもしれないです。

―普段…というかTwitter上などの時はPですか?

わからないですね。Pだったりファンだったり、一般人だったり、松田亜利沙だったりします。

―状況によって変わるわけではなく、普段からロールは浮動しているんですね。

そうですね。ただ、Pであることが多い感覚はあります。Pじゃないと百合子のほっぺ引っ張れないので。

 

取材後記

途中(というか後半わりと)ただのファン化してインタビュー出来ていなかったような気がします(反省)。それはそうと、アイマスの現実性が高いPの中でも溶けたロコが視える方というのはなかなか稀有な存在ではないでしょうか。

 

次回のインタビューは朧灯さんに伺っていきます。公開は【01/30】予定です!

 

(文責:Lotus)

 

 

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