頓痴気号漂流記

一人で工廠を名乗る不届き者。

狂気の弁明#1

 学会発表者の狂気に迫るインタビュー、第一回は「ぷちます!」学の先駆者であるLotusさんに来ていただきました。Twitter:@Lotus157744401P

 

アイマスとの出会い

―まずアイマスとの最初の出会いについて聞いていきたいのですが

従兄の部屋で漫画を物色していた際に漫画版「ぷちます!」を読んで面白いと思ったのが一番最初のきっかけですね。

―なるほど、「ぷちます!」の後はどのような変遷をたどってきたのでしょうか。

ぷちます!」を読んで気が付いたのが、予備知識がないとキャラクターがわからないという事。なので、従兄の部屋「ぷちます!」の隣にあった「アイドルマスター2 The world is all one!!」(以下「ざわわん」)を読んだり、曲を聴いたり、SSを読んだりしていました。自分がアニメに触れたのは結構後でしたね。既にアニメはあったんですけど、アニメをみる前に自分の中でアイマス観が固まった感じです。

―最初に触れたのが「ぷちます!」だったからこその影響みたいなものって感じますか?

たぶんあったのではないかと思います。最初に「ぷちます!」という突飛な世界に触れて、それを自分で受容できた。その上で様々なアイマス世界に触れていったので「解釈違い」が発生しにくい、これも一つの平行世界なんだなと見る感覚が身に付きました。

―というと、実在する世界が何個も並行してあって、どれも同価値である、という…

はい、例えばアイドルマスター2とアニメ版アイドルマスターって近い世界なのですが、ちょっと違うじゃないですか。「ざわわん」や「アイドルマスター2 Colorful Days」はアイドルマスター2に近い別世界です。一方、「THE IDOLM@STER(REX版)」はアニメに近い別世界なんですね。大きい世界のまとまりが公式から提示されて、それごとに各Pが作る世界が細かく分かれている。それらはそれぞれ独立していて、同価値である。というイメージをもっています。

―なるほど、生物学における分類みたいな感じですね?

まさにそんなイメージです。

―その生物の一種一種には本質的に価値の概念が存在しなくて、形態的な類似性によって分類されているという。

そうですね。公式というPが提示した一つの世界線

―メインストリームというと違うかもしれませんが…

まぁ、たぶん全体を見たら結果としてメインストリームになっている気はします。(全ての世界を)プロットしたら真ん中にいるのかな、という。

―語弊を恐れずに言えば、「それはただの公式の解釈だ」と。

それは大いにあっていいと思います。だって私はPだから。

―公式のストーリーテラーとそれぞれのPは同価値である、立場としては同位置にいるんだよ、という認識で。

そういった考え方をしていますね。

―なるほど。

 

・担当や推しについて

―では、担当や推しについて伺ってもよろしいでしょうか。

まず萩原雪歩ですね。「ぷちます!」で一番最初に出てくるぷちどるがゆきぽ、一番最後に出て来るのが雪歩と印象的だったのです。さらに「ざわわん」でで登場するユニットSprouTのうちの一人として活動していて、そのような経緯で一番気になっていたので「あー、もう担当しよう!」となったアイドルです。

そのほかの担当については、シンデレラで高森藍子相葉夕美。ユニットFloweryをよろしく。ミリオンでいうとロコ、望月杏奈、篠宮可憐。それぞれ特殊な事情があるのですが、特にロコについて最初から担当と名乗ってきました。シャニでは主に幽谷霧子を担当していますが、最近はほかのアイドルにもとても惹かれています。

推しは、美希と…あとなんでしょう、美穂とか加蓮とか?あまり自分で推しについて意識してなかったので…そんな感じですね。

―なるほど、ありがとうございます。ところで担当と推しの間に何らかの区別はありますか?

んー、まず自分の中で担当アイドルの基準は、「自分がこのアイドルの魅力を一番引き出せる」という自信があるかにあるんです。推しは、例えば作る世界観だったり、パフォーマンスだったりは好きですが自分がそれ以上を引き出せる自信がないときに名乗る使い分けをしていますね。一番いい例は星井美希で、無理。自分が担当するのは無理ですが、とても好きなんですよ。

ただ、担当以外をプロデュースしていないかと言われるとそうではなくて、私はPなので今担当として挙げたアイドル以外もプロデュースはしているんです。担当以外のアイドルも輝かせようとは頑張るのですが、他のPさんが見せるアイドル像の方が美しい。「推し」として魅せられているアイドルの姿は全て世のPさん達が呈示した姿なんです。逆に担当アイドルに関しては、私の持つアイドル像は他の誰にも負けないものであると自負しています。

―ちなみになんですが、担当や推しの共通項についてはどうでしょうか。

共通項…作りたくないですね。例えば黒髪ロングが好きと言ってしまったら、次に出会った黒髪ロングのキャラクターを好きにならなければいけない気になりますし、出会った好きなキャラクターが黒髪ロングでなかった時に、「好きじゃないのかも」と自分を疑わなければならない。自分がそうなってしまいそうで無理に探そうとしてないんです。

ただ敢えて言うならば、身長155cm、体重42㎏がちというのはあります。

―とてもピンポイントですね(笑)

なんでか…なぜかこれなんですよ(笑)

  

・発表の要約

―そろそろ本題の方入っていきますか。Lotusさんの北九州学会とOnline学会での二つの発表の要約をお願いします。

はい、二つとも自然ぷち科学というタイトルでやっているのですけど。

まず北九州学会で発表したのが「自然ぷち科学ーいおビームの定性的理解ー」です。目標としては、いおビームってそもそもどういうものなのかというのを、できるだけ科学の目線からなるべく現実的に説明して、わからないところだけをぷちどるの能力で説明しようというものでした。やり方としては、とりあえず漫画版「ぷちます!」に則って、いおがビームを撃っているコマを全て調べる。で、調べたやつから動き…例えば折れ曲がっているな、ピンク色のビームだな、物を壊しているな、というのを確認して、それが何だったら成立するかを考えたんですね。

結論として、いおは体内にカリウムとカルシウムを集積していて…カリウムは特に放射性カリウムですね。これの放射性崩壊によって発生する電子とカリウム、カルシウムの輝線…エネルギーを与えた時に出る光、これらに放射崩壊による赤外線を混ぜて放出することでピンク色で破壊力を伴うビームが発生すると考えました。

科学的に説明できない不思議なところは、普通に出しただけなら全然ビームとしての役割を持てないと思われるところです。それを集約させるというか、まとめて、時には曲げて、そういうことをするためにいおは電磁場を操っている。自分の周囲の電磁場を操ることでビームを自由自在に操っているのではないかという結論に至りました。

―では、Online学会での発表の方もお願いします。

こちらはOnlineアイマス学会でやった「自然ぷち科学―はるかさんの増殖メカニズムー」というタイトルの発表ですね。これの目的は「はるかさんなんで増えるの?」をできるだけそれらしく語ってみようというものです。これは結構難しかったですね… 

方法は先ほどのと一緒で、はるかさんが増えているところを「ぷちます!」の漫画版からひたすら抜き出してきて、特徴をつかむ。で、付随して、巨大化するであったり、暗黒化するであったりもついでに調べておいて、関連性を確認しました。自分の中で考えた結論としては、まず似ている生物...自分の体を分けて自分と似た新個体を作る生物ですね。いろいろいると思いますが、その中でいうと粘菌っぽいのではないかと思って、粘菌が増殖に用いる原形質流動などを使ってそれらしく説明できそうです。生物なので膜があるわけです、はるかさんの膜という概念を踏まえて、沢山の膜がはるかさんの表面に格納されていると仮定します。水を触媒にしてそこに酵素が働いて、体内の原形質をはるかさんの膜内に注入します。注入された膜は体内で生成されたリボンで蓋をされ、切り離されます。このように娘個体はるかさんができるのでは、と。これならぎりぎり説明がつくのではないかと考えています。私の中でも不完全燃焼ではありますが、そのように発表しました。

 

・今後の展望

―発表の今後の展望のほうに移っていきたいんですけれども。現状以上に科学で踏み込むための布石ってなにか考えられていますか?

とりあえずまだ情報が少ないので、はるかさんについてはまだまだ、例えば集団生物とか別の視点から深掘りしたいと思っています。その他ぷちどるについても全然わかっていない点があるので、とりあえず各ぷちどるの、そしてあちら側の世界線における法則を確認して、こちら側のものと変換を可能にする。そうすればぷちどるの不思議な能力が定量的に評価できて、それによって強さの比較を可能にする、というのが今後の目標というか、流れですね。

―まだまだデータ収集が続いていくと

まだ足りてないですね、全然。「ぷちます!」は続いているので、今後何が起きるかわからないという怖さもありますね。どうなるかなって感じです。

 

・犯行動機

―「ぷちます!」という不思議な世界に対して、できるだけこちらの世界の道具を用いて踏み込んでいくという姿勢の意図はどのようなものだったのでしょうか。

まず、最初に自分の中心にあったのが「最強のぷちどるは誰だ?」という疑問だったんですよ。たとえば、一対一の対戦を想定してこういう動きができるからこっちが強い、は論理性に欠けるというか、公平ではないわけですね。なので、ぷちどるのそれぞれの持っている不思議な…現実的ではない能力の出力を科学的に、というか定量的に測ることができれば、強さの数値化が可能だと。

―えー、不思議な力を函数にして、発生した現象を答えとすると、答えから函数が推定できるのではないか、という発想ですか?

どちらかというと、現実改変能力の高さは実数値になると思うんですよ。

―というと、現実からどれだけ離れたことができるか、というの仕事量のようにとらえて比較すると。

 どちらかというとスカラーポテンシャルですかね。それが定義できればどちらの力が強いと言い切れるかなと。

―それはこちらの世界ではありえない、「ぷちます!」世界に対応した新しい物理量を作るということですか…

自分の中ではそう考えています。ただ、その物理量はSI単位系の中では表せないんじゃないかと思っています。なので新しい次元というべきか、単位を一つ作ってあげればその値の大きさで評価ができるんじゃないかという風に考えています。

―これ、現実世界の道具である科学を用いて、「ぷちます!」世界を考えるということは、「ぷちます!」世界と現実世界の関わり方が関係してくると思うのですが。ここについてはどうお考えですか?

前提として、私は「ぷちます!」世界を含めてあらゆるアイドルマスターに関連する世界の存在を否定したくないんですよ。「あったら面白いじゃん」ぐらいの感覚なんですけど。否定しないものとして、なら、それは一つの現実なんですよ。現実のことは現実的に見ようぜ、っていう。そういう感覚ですかね。

 

・私的P観

―最後になりますが、あなたにとってPって何ですか?というのをお聞きしていて。Pってなんだと思いますか?

まず、お手本というと悪いですが、アイマスというコンテンツに消費者として関わっている人たち、公式が呼ぶPの定義はこれだと思うんです。で、問題は私たちは、例えばライブに参加したり、公式生放送なんかを見ているだけであちら側からPさんと呼ばれてしまうわけですよ。これってちょっと権利に対して義務が追いついてないのではないかと思ったんです。なので、私の中でのこうなってこそのPだというP概念は自分から何か新しいものをアイマスに関して創り出したとき、その人がPと呼ばれるに値すると考えています。

―本来の意味での生産者、ですね。

例えば、ちょっと言い方が悪いですけどゲームしてプロデュースした!と言っても、それは誰かが作った選択肢の上を歩いていて、それって本当にプロデュースなの?それよりも自分の心の中にいるアイドルというべきか…アイドル像と会話したほうがよっぽどPなんじゃないの?と思うんです。

―俺だったらこのアイドルはこう動かすぞ!という発想が出ること自体がまず第一歩みたいな感じですかね?

まず、その前に、というか、そもそも自分の中にいるアイドル、想像の中というか理解の中のアイドルですね。これは各Pごとに違う個体なんですよ。同じ「天海春香」を想定しても、私の中にいる春香と各Pさんたちの中にいる春香は別物ですし、別物でなければならないと思うんです。なので、もっと言ってしまえば各Pさんが自分の中にアイドルマスター世界を持つというか、世界線を各人が独立して持っている、もしくは一人につき複数持っている方もいるかもしれませんが…持っている。で、そこにいるアイドルたちを一番輝かさせられる手法で世に発信している状態、例えば絵を描くにしても、公式から与えらえた情報だけではなくて、その上で自分の中にいるアイドルを描くわけです、結局は。文章にしてもやはりそこにいるアイドルは自分の中にいるアイドルなんですよ。

だから、まずPは自分の中にアイドルマスター世界を持っていて、かつその世界の中にいる担当をはじめとするアイドル達を輝く方法で世に送り出すことができる人がPなのではないかと思っています。

アイマスのたくさんの世界線は、少なくともPさんの数だけは存在すると。それが分類されて…

まあ近かったり遠かったりはあるかもしれませんが、極論あんまり近さは関係ないのかもしれません。独立しているので。

―なるほど、たくさんの世界線が全て同価値であり、かつ実在すると考えられていると。

はい、そう思っています。

―なるほど、実在するとおっしゃっていましたが、それはアイマス世界が自己の外部に存在して、それを認識できたから、ということですか?

んー...まず、私が認識しているアイマス空間は私の中にあります。Lotusが形作る空間の中にLotusというPがいて、アイドル達が存在しています。アイドル達は私の認識を通して公式や他のPさんの発信から取り込んでいるため多少公式設定とは乖離している点もあります。それを認識してから、恐らくそれに似たものを他のPさん方も持ってるんじゃないかな、しかも人によっては複数持ってる方もいるんじゃないかな、と感じる場面に多く出会って。勿論そこにある空間は公式とも私の中の物とも違う、別の世界線が実在してるんです。

じゃあどれが本物なのよって考えると、全部本物なんです。Pの数以上にある多数のアイマス世界線を束ねた物がアイマス世界なんじゃないかな、と感じるに至りました。自己の外部にあるというよりは...アイマスを取り込んだ私がアイマス世界を構築する一部になっているというか。

―自分の中にアイマス世界線があり、アイマス世界の中に自分があると…自分の中にアイマス世界線があるならば、アイマス世界線自体がLotusさんに影響を与えることもあるのでしょうか?

ありますね。というより私がLotusという名前をアイマスでしか使っていないので、Lotusはアイマス世界にしか存在しませんし私はアイマスを全てLotusを通じて観測している感覚でいます。逆にリアルにLotusが侵食すると言いますか、例えば「この人(リアルの友人)プロデュースするならどうやろうかな」などと考えることもあります。纏めると「Lotusはアイマス世界と不可分」「最近は私の中のLotusが外側に影響を与えることも出来てきた」と言ったところです。

―リアルの人となりすらPに制約されてしまうんですね。自分はPだという確信があるように感じられますが、その源泉はどこにあるのでしょうか。

源泉というか、そもそもアイドル達からプロデューサーさんと呼ばれてそれを受け入れた時点で、もうPなんですよ。そこで確信持って自分はPだと言えないっていうのはPというロールを与えてくれた世界への裏切りというか、責任放棄な気がするんです。先ほど述べた義務っていうのはより良いPになるため努力をすることやよりアイドルを輝かせるために行動を起こすことだと思っているんですけど、Pであるということの責任はそれ以前の問題で。Pのアイドルに対して持つ権限っていうのは、それこそアイドルの人生を左右するものです。それを半ば無条件に与えてくれたアイドル達に対して「私今Pじゃないから」というのは余りにも虫が良すぎるというか、許されざることなんじゃないかなって。少なくともLotusというPは自分が作った空間に対しての責任から逃げることを許されていません。…アイマス世界をあまりにも信じすぎているというか、正直自分で見てもおかしいんですけど。自覚ある狂信者って感じなのかな?

 

・取材後記

理由あって、発表!ということで、俺たち狂人じゃねーし、理由あるし。と企画したこのインタビューですが、思ったよりやばかったですね。少なくともこの人は狂人です、狂信者か。

次回のインタビューは兎爺さんの回で、公開は【11/21】予定です!

吉と出るか、狂と出るか。

 (文責:温泉卿)

 

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